2011年5月14日土曜日

ナウカに望むこと

井上幸義先生の新著『ゴーゴリの『鼻』を読む』は、先週の授業で先生も宣伝チラシをお持ちになって勧めていらっしゃった。

その時先生がおっしゃっていたのは、井上先生はかの染谷茂先生の『イワン・デニーソヴィチの一日』注釈・対訳本(下の写真右)に少しでも近づけるべく努力された、ということ。

おおお、確かにあの本を読もうとした(←完了体になっていない、残念ながら)の感動に通じるものがあります。
でももっと、親しみやすく(ソルジェニーツィンではなくゴーゴリであり、収容所ではなくペテルブルグが舞台なので)、朗読CDもついているので、もしかしてこれなら少しはやってみる気になるかも??と、今のところ思ってみたり。

さきほど実はやっと、NHKラジオ講座の歴史(前世紀(80年代後半-)今世紀)を入力し終え、聞き流すだけになることが多い応用編で印象に残っているのは、私の場合やはり文学の講読だと、再認識したところなのです。

これまでの文学講読講座
*88年後期 中本信幸先生「チェーホフとクニッペル」(ただしテクストはクニッペルの回想だったように思う。テキストがみつからない…)
*89年後期 安井亮平先生「現代ロシアの文学」
10-12月カザコーフ「12月の二人」 1月-2月ラスプーチン「ばあさん」 3月キム「町の稲妻」
(テキストみつからない。この時期買っていなかったのかも。今にしては痛恨だ。)
*90年後期 佐々木照央先生「レフ・トルストイの民話集」 (テキストとっていない?)
*91年後期 伊東一郎先生「ソロチンツィの市」(12月-3月分のみ保存)
*92年後期 川端香男里先生「ロシア文学の世界」
トゥルゲーネフの「ロシア語」、レールモントフの詩、カラムジン、等々ロシア文学の抜粋いろいろ。
*93年後期 森安達也先生「ロシア精神文化から」
「ロシア原初年代記物語」、歴史家クリュチェーフスキー講演、「バレエ」と題するテクスト(著者不明)、「トレチヤコフ美術館」と題するテクスト(著者不明)、スミルノフ=ソコーリスキイ「古書」、画家ミハイル・ネステロフ「北風の神」、ドミートリー・ショスタコーヴィチ「時代と自分について」、ニコライ・ベルジャーエフ、言語学者ボリス・ウスペンスキイ、宗教家?セルゲイ・ブルガーコフ、ニコライ・ニコーリスキイ「ロシア教会史」
*94年後期 原卓也先生「カラマーゾフの兄弟」
*95年後期 川端香男里先生「ツルゲーネフ読本」(『貴族の巣』)
*96年後期 沼野充義先生「ドヴラートフを読む」
*97年後期 原卓也先生「チェーホフの『恋について』」(99年前期再放送)
*98年後期 沼野充義先生「吟遊詩人オクジャワの世界」(2000年前期再放送)
*2000年後期 川端香男里先生「トルストイの戦争と平和を読む」(2002年前期再放送)
*2001年後期 中村喜和先生「ロシア民話の世界」(2003年前期再放送)
*2004年後期 渡辺雅司先生「チェーホフの『サハリン島』を読む」(2006年前期再放送)
*2005年後期 鴻野わか菜先生「ロシア絵本とファンタジー」(2007年前期再放送)
*2007年後期 井上幸義先生 「ゴーゴリの『鼻』を読む」(再放送なし!)

90年代には、前期に原タマーラ先生の会話もの、後期に文学等の講読というサイクルが確立していたようですね。
講読は毎回新作で再放送なし。
それが原タマーラ先生がなさらなくなってから、でしょうか、再放送をはさんでほぼ隔年新作になり、しかしそれも2007年後期の井上先生の『鼻』の講読でおしまいに。

リストを眺めると、なかなか貴重なテクストが多く、きちんととっていたらお宝だったのだけれど、80年代のものは…残念ながらなくなってしまったかも。
沼野先生のドヴラートフのように、訳書を出して形に残されたものは、おそらく例外で、あとは放送されたままなのではないでしょうか。

できれば、今回井上先生の講座が立派なご本になって、ラジオ講座を思い出し、復習することが可能となったように、他の先生の講読講座もこのような形にならないかなーと、願うわけです。
できればCD付きでです!

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