2012年7月23日月曜日

結婚式にて 踊るアラン

アラン・ザゴエフは踊るのが好きなのだそうです。
休みには踊りに行く、ヒップポップとかが好き。
そんな風に以前インタビューで言っていました。

彼はベスラン出身のオセット人です。
オセチアといえば、「男性は鷹のように勇壮に、女性は鶴のように優雅に」と言い表してもまだ語り尽くせない、素晴らしい民族舞踊を誇る土地柄です。
伝統的な民族の踊りよりヒップポップが好きという現代っ子のアラン・ザゴエフでも、舞の心得はあるはず。
故郷に帰った時の映像で、ちょこっと踊っているときのがあったなあ。

ユーロで彼は3得点を挙げました。
最初のチェコ戦で2得点。
1点目は両親に、2点目は新妻に捧げたのだそうです。

ユーロが終わってロシアに戻ってから、結婚式を挙げました。
ゲルギエフと同様に相手は同郷の女性。
結婚式、大変そう。
カフカースの宴会は「客がその屋敷から立って出てきたら、もてなしが足りない、なんてケチなんだ、酔いつぶす前に帰すなんて!と非難されるのだ」というくらい、ひたすら豪勢にふるまうので音に聞こえている。
皆で飲み食い、歌い踊る。
それがカフカース。

Алан Дзагоев танцует лезгинку на своей свадьбе
アラン・ザゴエフ、自らの婚礼の席でレズギンカを舞う

あー、踊っている!
撮っている人が明らかに素人で、画質も良くないし(携帯で撮ったのか?)、足元などを映してくれていないし、ザーガも若干手抜きで途中でやめたがったりして、そんなにノリノリではないが、それなりに様になっているではないか。
でも、これ、前に観たことあるような気がするのだが?

元ネタはこれでは?
ツェスカ・ファンの非公式サイト「ツェスカ・ナフシェグダ!!!(ツェスカよ永遠に!!!)」

同じ映像ですよね。
しかしこれには
Алан Дзагоев отдыхает на свадьбе своего своего брата. 2011 год.
アラン・ザゴエフ、兄の結婚式でくつろぐ。2011年
と書かれています。

今回の自分の結婚式の映像ではないのか。

でもまあ、たぶん今度も踊ったのだろう。
この映像ではないにしても。

レズギンカというのは、狭義にはカフカースの少数民族レズギン人(アゼルバイジャンやダゲスタンあたりに住む)の伝統的なダンスのこと。
広義にはカフカースの民族舞踊、またそれを元に作られた舞曲です。
カフカースは民族が入り組んでいるところで、伝統的な舞踊にしても、リズム・メロディー・振付・衣装等も民族ごと、あるいは部族ごとに微妙に違っていてそれこそが彼らのアイデンティティーになっていたりもするのではないかと思えるのですが、かつてのロシア帝国の側から観て「いかにもエスニック」なカフカースの舞踊をひとまとめに「レズギンカ」と称しているような気もします。
アラム・ハチャトゥリアンのバレエ舞曲「ガヤネー」(フランス風の「ガイーヌ」という名で知られる)の中にある「レズギンカ」が有名です。
ハチャトゥリアンはアルメニア人で、このあたり(カフカース)の民族音楽を素材にしたいかにもエスニックな曲作りをしました。



これはハチャトゥリアンによって非常に洗練したスタイルになっていて、バレエなのでトゥシューズで爪先立ちして舞っていますが、カフカースの民族舞踊においては、ブーツで爪先立ちして激しく勇壮に実にカッコよく舞います。

これなんかは「コザックのレズギンカ」と題するダンスです。
おじいちゃんたち、もとい年配の男性たちのカッコいいダンスです。

ザゴエフが属するオセット人(古名アラン人)のダンスは、狭義にはレズギンカとは言わないのでしょうが(レズギン人のダンスとどう違うのか私にはよくわかりません)、ロシアのメディアでは普通に「レズギンカ」と呼んでいるようです。

オセット人の民族舞踊は、数年前に来日公演した、その名も「アラン」という民族舞踊アンサンブルを観て、その勇猛さ、優雅さ、テクニックにただただ魅惑されました。

例えば、山のダンスという踊り




これでさえも、ショーとして見せるためにかなり洗練されたものになっているのかもしれませんが。
「アラン」という剣の舞は、照明を落として、両手に持った剣をダンサーがかちあわせるたびに、火花がぱちぱち飛び散って、ただもう息をのむ素晴らしさでした。
(もちろんDVDを買い求め、何度も観なおしていますが、やはりライブで観たい!また来日して欲しい!)

オセチアの結婚式と題するこの動画



映画の一場面のようですが、これこれ!
男性がブーツで爪先立ちして、鷹のように勇壮に舞う。
女性が鶴のように優雅に、滑るように(スカートに隠れていますが、やはりブーツで爪先立ちしています)舞う。
踊っているときに(踊る前からですが)、やたら祝砲をばんばんやるのもカフカース流ですね。

民族衣装を着ないで現代的な服でのオセチアの結婚式の様子はこんな感じです。

踊れ、アラン。
今度はフィールド内で。
ゴールを決めた時、代表選で勝利した時、得意の舞を披露してくださいね。

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