2012年7月15日日曜日

あの日を思い出す

文句を言いながらも、この時間は「らららクラシック」を観ている。
今日はドビュッシー特集か。
奇しくも鈴木晶先生訳の分厚い『ディアギレフ 芸術に捧げた生涯』を読み始めたところだった。
実は私が生まれて初めて生で観たバレエはドビュッシーの「牧神の午後」なのだ。
初めての国外旅行で、オクチャプリスキー劇場のガラ公演を観た、その中の一つ。
8月下旬だったから、プレシーズンの新人公演だったはず。
正直に告白すると、ちょっと眠たかった。
が、演目の中でしっかり記憶に残っているのがこの「牧神の午後」だけなのだ。
異様だったから。
衣装や舞台美術や、あのとき観たバレエと今TVで観ているのとあまり変わらないような気がするが、ディアギレフ&ニジンスキーによる初演の時からあんまり変化はないのだろうか?

さて、もう一冊。
ヴェニヤミン・カヴェーリンの『二人のキャプテン』も手元にあり、読もうと試みているが、これも分厚い!
この本は、既に記憶の彼方に去っていたミュージカル「ノルドオスト」の原作だ。
2002年秋、モスクワのドブロフカミュージカル劇場(当初日本のマスコミでは「文化宮殿劇場」と書かれていたはず)で起きたチェチェン独立を主張する武装勢力による占拠事件が起こった時に上演されていた、あのミュージカルである。

当時のロシアでは、劇場と劇団は一体であり、レパートリー制(日替わりで違う演目を演じる)が一般的だった(←今でも一般的なはずだ)のに、この劇場ではぶっ続けで「ノルドオスト」1本を演じていた。
国ではなく企業(ジルだったはず)をバックにして、新しい方式をロシア演劇界に持ち込み、ヒットしていた。
その最中に起こった悲劇だった。

あんな事件が起こってから、この本を読もう、あるいは劇や映画(ソ連時代にモスフィルムが映画化している)を観ようなどというかの国の人がどれだけいるのか、私には測りかねる。
が、邦訳は今年になって出たのだ。

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