2013年3月3日日曜日

名もなく、しかし清くも美しくもなく

最近実家に連絡して「チャイコフスキー」だの「カラマーゾフの兄弟」だのソ連映画を録画してもらっている。
でもそれを観る時間が持てないでいる。
来週からサッカーが再開されたらさらに時間がなくなるのでは?

強力にお誘いいただいていたのに、なかなかお返事できずにいたのは、物理的時間的体力的そして精神的にも観に行くだけの“余裕”があるかどうか自分で危ぶんでいたのだ。
私以上に状況が厳しいかと思えていた母に割とぎりぎりになって声をかけてみると、母はこのお芝居に非常に関心を持っていたことが分かった。
それなら、親孝行のために買うか。チケット2枚お願い。

そして、今日の午後、俳優座劇場へ。
劇団銅鑼「からまる法則」

さほさんがブログに書かれていたホームレスの人たちに関する印象、そっくりなことを教会の友人が話していた。ずっと前のことだけど。
マザー・テレサが尊敬する人っていうのもよくあることだ。特にクリスチャンでは。
(私もそうだし。)


久々に、大がかりなセット。
中央の張り紙は、上手く写真に写っていないが
「生活保護費で借金返済をしてはいけない」
「人にお金を貸してはいけない」
ということが書いてある(上の文言は正確なものではない)。
これはもちろん本当のことで、偏頗弁済になるという意味でも、生活保護費は文字通り「健康で文化的な最適限度の生活」を保障するために支給されるものであって返済原資ではないという意味でも、生活保護で得たお金で弁済をしてはいけない。

この作品は、路上生活者・元路上生活者についてよりも、それを支援する人たちを中心にストーリーが展開する。
けれども、彼らがどうして支援するようになったかは台詞中でさらっと触れられるだけだ。
主人公の弁護士を除いては。

支援団体代表となっている法学部生の態度は、「私が正しいことをしているのに、あんたたち何で妨害するのよ!」てなもとで、いただけない。周りの人たちからも「それじゃだめだ」と再三諭されるのだが、耳を傾けている様子がない。この団体、大丈夫なのだろうか?こんな人物を代表にしていて。
全体に、中堅~ベテランの演技は余裕すら感じさせて安心して観ていられたが、若い俳優たちは力がこもりすぎていて近くで(最前列だった)観ているとそれだけで疲れたが、これも狙った演出だったのだろうか?

弁護士と医師がかつての恋人同士だったという設定は不思議だった。
あと、現実には両方ともこんなに暇じゃなかろうと。
(人権派弁護士の過労ぶりも大変なものだが、経営型の弁護士の就労状況はそれ以上、つまり「時間を売る」ものであるだけ若いうちはとんでもなく過酷であるらしい。それでも「こういう仕事だけでは飽き足らない」と、儲け度外視で人権擁護活動に積極的に関わる人もいるのは心強いことだ。)

劇団銅鑼では以前「エイジアン・パラダイス」という劇を上演していた。
こちらではさほさんは主人公の元中国残留邦人であり在留外国人らを下宿させている未亡人(亡夫は弁護士という設定)を演じていたが、その劇でも「そういう下宿は迷惑」と苦情を言ってくる近所の人がいる。(今度の劇ではさほさんがクレーマーになっているというのがおもしろい。)
総論では社会的弱者への支援はすべきだと思っていても、いざ近所にできるとなると迷惑、というかそういう人たちをちょっと怖いと思う人はかなりいるのだろう。
私の友人は、近所にレ○パ○スが建設されようとしているのに「素性のわからない人がやって来て、ごみ捨てルールも守らず、勝手なことをするのではないか?」と言い、建設反対運動に賛意を示していた。
レ○パ○スくらいでそうなのだから、外国人向けの下宿屋だの、路上生活者の支援施設だのなんて・・・。

最後に役所の人に釘をさす、という形で現れてはいたが、「日本の貧困」がもたらす諸問題については、結局行政のあり方に行きつかざるを得ない。
この作品では区役所環境課の係の人が出てきていたが、福祉の問題ですよね。この後、板挟みになって苦しむことになるのでは?と案じてしまう。

生活保護費の基準が引き下げられることになっているが、それは生活保護受給者のみの問題に留まらず、就学援助、元中国残留邦人への手当等々に波及する。
さらに、自民党の改憲案ではどうなってしまうのか。
法学館憲法研究所サイトに所長の伊藤真弁護士による解説がある。
予想以上にアナクロでびっくり、といったところだったが。
「立憲主義以前」というところで、世界の恥たる日本になってしまいそう。

昨夜からだらだら書いていたのだが、眠くなってしまい、「カラマーゾフの兄弟」の時間には寝入っていて、しかも予約していると思い込んでいた録画もしていなかったことが今朝になってわかって、残念無念。

さほさん企画の「女三人のシベリア鉄道」が来年3月俳優座劇場での上演との情報がチラシに入っていた。とてもおもしろい本だった。どんなふうに舞台化されるのか今から楽しみだ。
というので、気を取り直そう。

0 件のコメント:

コメントを投稿