2013年3月9日土曜日

Крылья, Удачи!

寒いと、何かする気になれなくて、家事も思いっきり手抜きになり、朝起きて仕事に行って仕事して、行き帰りに本を読み、・・・でもその他には何かしたい気になれず。
冬は大体そんな感じで、「オデッサ・コスモス」は放置状態だったが、暖かくなって冬眠から目覚めた。

・ロシアンカルト映画(アップリンク)
・演劇「女三人のシベリア鉄道」(劇団銅鑼・まだ先)
・映画「ベルトルッチの分身」

3月に入ってから三つも書いた!
本の情報はいろいろあるが、そのうちぼちぼちと。

昨日、お茶の時間に、『チェーホフの短篇小説はいかに読まれてきたか』を手にしていたら、最年長の上司に、「今日は何を読んでいるの?」と声をかけられた。
分厚い本を読んでいることが多い私だが、この本は比較的薄い。
しかも、なかなかおもしろい。
さーっと流し読みするにはもったいないので、ゆっくり読みたい。
そういう本だ。
上司は「また難しそうな本を読んでいるんだね」と。
難しくはないのに。

タイトルで語られているとおり、チェーホフの短篇が誰にどんな影響を与え、どう受容されてきたのかという研究成果が載せられている。
「誰に」に関してはほぼ文学者のことであり、演劇など他の分野のことまでは扱われない。
実は、最初から順番にではなくて、好きなところから読んでいる。
最初に沼野恭子先生が書かれた「第5章 チェーホフとの対話 ―ロシアの作家たちによるチェーホフ受容―」。
これについては後ほど触れるとして、次に読んだのが井上健先生の「第4章 アメリカン・チェーホフの系譜」、そして松本朗先生「第3章 モダン・チェーホフ?」。
と章を遡っているわけだ。

英米文学については殆ど読んだことがなく(英語の授業で読んだモームやビアスは後味が悪くてとても好きになれなかった)、そのへんの教養のなさが響いてしまうが、実にいろいろな作家がチェーホフをそれぞれに受容している様子が指摘されていて興味が尽きない。
それとともに、おもしろかったのは、イギリスにおけるロシア文学の受容の歴史(60~63ページ)だ。

1.1820年代~
・ロシアに関する情報を得るため
・ロシアの否定的なイメージをイギリス国民に与えようという意図による
→粗雑な翻訳(というより書き換えも横行)、登場する悪人の強調、生活水準の低さを描くための書き換えなど。(ゴーゴリ『死せる魂』)

2.1885年前後~
・ようやく文学的関心、しかしロシア文学は西洋文学より低レベルとの認識
 トゥルゲーネフ、レフ・トルストイ等

3.1910年~1925年頃
・空前の「ロシア・ブーム」 但し、イギリス人の好みに合わせた輸入(もはや「英語文学」として愛読されたコンスタンス・ガーネットの精力的な翻訳)

4.イギリス文学のリアリズム→モダニズム以降におけるチェーホフ(ガーネット訳のイギリス化したチェーホフであるが)の影響(ヴァージニア・ウルフ、キャサリン・マンフィールド)
 

そう、現代的な視点で見れば、確かにマンフィールドの『疲れた子』は『眠い』のパクリだわ。

日本への影響については第3部で詳しく語られる。

それと、『気持ちが伝わる!ロシア語リアルフレーズBOOK』はセルゲイ・チローロフさんと吉岡ゆきさんによるCD付きの会話本。
冒頭の「本書の使い方~より効果的な勉強方法」には、Step1として見出しフレーズだけチェックするように書いてあるのだけれど、一つ一つつい注釈まで読んでしまう。
語学を学ぶ人の中には、これまでのクラスメートの中にでも、スラングを好んで覚えようとする人がいるけれど、私はそういうのは嫌なのだ。
堅苦しくてもいいから、きちんとした言い方を覚えたい。
(外国の方にも日本語を話すならきちんとした言い方を覚えて欲しいと考えている。)
その点で言えば、この本は、従来の教科書に載っていたのとは異なる、日常会話で使われる、かなり砕けた表現が取り入れられている。
こんなの、知らない!というものばかり、まさに目から鱗だ。
でも、この本では「タブー表現はいっさい扱わない」というので、安心。

まず、今日はこれだ。
Удачи! がんばってね!
今まではЖелаю Вам успехов!を使っていたけれど、успеховは他人行儀なのだそうだ。
(と、やはり注釈を読んでしまう。)

Удачи, Крылья!




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