2013年8月1日木曜日

地下室の手記の現代性

ものすごくうるさくて、ありえないほど痛い。
イキウメの公演「地下室の手記」。
言わずと知れたフョードル・ドストエフスキー原作なのだけれど、現代日本のお話に翻案されており、帝政ロシアの元小物官吏は、今どき日本のネットのストリーミング生放送で自らの失敗人生を愚痴る(盛大に言い訳する)情けない男子なわけです。
だから、ドストというよりまるっきりペレーヴィンっぽかった。
あの、私の嫌いなペレーヴィンです、はい。

でも、お芝居はおもしろかった。
ただ、ストーリーが単純化されていて後半は平板になっていたのは残念だった。
主演俳優は力演していたといえるが、女優の方はあまり魅力的ではなかった。
主人公の後ろでちらちらしていた演出はわけわからず、無駄だったと思う。


赤坂RED THEATERって、初めて行ったけれど、駅から近くて便利だし、きれいでなかなかよかった。
何より地下なので、今回の公演にはぴったりだった。

主人公がPCをつけてストリーミング生放送していると(でも結局過去語り)、ニコニコ動画のナマコメって言うんですか、画面の右から左にコメントが走っていく、あれが舞台にもスクリーンがあって、それに映るわけです。
こういうのとかこういうのがナマコメなんでしょ?)
なので、ネット用語が飛び交っていて、最初はよくわからなかった。
「マジ死ね」とか「キモイ」とか「乙」とか、最後には「888888888」みたいに8の字の連打。
何なのこれ?
(拍手を表すのか?)
そういうわけで、やっぱりペレーヴィンなわけです。

が、これを観て「ぼくらは皆ゴーゴリの『外套』から出てきた」と言ったというドストエフスキーは、さすがに今に通じる精神が備わっているのだ、ペレーヴィンにもきっとドスト魂が宿っているのだ、と一人納得して劇場をあとにしたのでありました。

0 件のコメント:

コメントを投稿