2014年7月20日日曜日

どこより早い?ワールドカップ報告会@上智大学

恒例の(いや、二回目ですけど)上智大学ヨーロッパ研究所主催のサッカーシンポジウムに行ってきました。

一回目のシンポジウムは何がテーマだったのか忘れたけれど※、大平先生とか豪華メンバーでおもしろかった。そして盛況だった。

なので、今度も早めに行かないと席が確保できないかも、と思って行ったけれど、20分前くらいに到着し、何とか後ろの方に座れました。

今回も割と豪華メンバーで、コーディネーターの市之瀬先生と冒頭のパネリストの西部さんというジャーナリスト(実によくしゃべる)、上智の保健体育研究所教授の鈴木先生、写真家・ノンフィクションライターの宇都宮さんは前回から引き続き、「月刊フットボリスタ」編集長の木村さんという人が新たに加わりました。
ハイソなイングランドサポーター(お母様はウェールズ出身とのことだったが)ケルナーさん、尊敬する『ロシアサッカー物語』をものした大平先生が今回はいらっしゃらなかったから、今回はイングランドとロシアがスペインにとって替わられたということになります。

関連本の展示や販売は今回もやっていませんでしたが、前回のシンポジウムのレポートはありました。
(ざっと読んだけれど、特にケルナーさんの絶妙なジョークはカットされていて、やはりライブの方がおもしろいということがわかった。)
※これによると、前回のテーマは「ヨーロッパサッカーと日本」でした。

このシンポジウムの企画がされたのは、勿論ワールドカップ開催前のことだったでしょう。
(実は2日前に同じ会場イベロアメリカ研究所主催でワールドカップについてのシンポジウムが開催されていたとのこと。日程からして元々無理だったが、こちらも聞いてみたかった。)
なので、大会でベスト4に入ったヨーロッパ勢であるドイツとオランダについてのスペシャリストがいなくて、ポルトガル語がご専門の市之瀬先生、スペインで活動されている木村浩嗣さんと、グループリーグ敗退の代表チームが揃ってしまったという皮肉な結果に…。
(敗退したことが話題にもならないスラヴ勢は中段の棚にあげておく。)

6月20日に掲示されていたチラシ
この段階ではポルトガルやスペインの敗北は反映されていない。
それがシンポジウム数日前のチラシでは、かく破れたりの悲壮感がつたわってくる。

さて、西部謙司さん。
「W杯の傾向と日本サッカーの将来」
この方はよくしゃべります。男のおばさんタイプ。
言いたいことは近刊(9月頃?)にあるのではないかと思うので、それを読みましょう。
日本代表が言っていた「自分たちのサッカー」とは?
⇒それをやると4点取られる。(が5点取れるような選手はいないので負ける。)
ミュラーのことを「トンビみたいに一気に走って来てゴールする」とおっしゃっていたが、ストライカーの基本はそれじゃないかなあ。

次に鈴木守先生。
「脚の文化に宿る“不合理”という名の妙味」
大学の先生らしくハンドアウトあり。
オールドファンを自認する、且つ現役プレイヤー。
文化的には足(下半身)はネガティブ、反秩序的⇒不合理。
ハンドアウトの末尾に「努力が報われない物語」と記されていた。
まあ、特に応援の努力は全く報われないよな。


ハーフタイム
木村浩嗣さん
「スペイン代表:スペイン人のメンタリティとサイクル終了」
ちょっと寂しいタイトルですね。
この人もよくしゃべるのですよ。
「スペイン人はお調子者で乗ると(そしてよく乗る)強いけど、調子に乗らないとだめだめ」「逆境でパニックになる」
これはよく言われているようなラテン気質そのままのようで、いやそれってラテンじゃなくても人ってそういうものでしょうに。
特にスペインに限定された特徴ではないと思うので、説得力にはやや欠けました。
いや、実際スペインの人、「勝てない」と思った途端に頑張れなくなったのだろうけど。

市之瀬先生、ポルトガルユニ※着用で登壇。
※フィーゴ、ルイコスタ時代のワインカラーのもの。
ハンドアウトあり。
「全ての大会で好成績を残せる国ではない」(出られないこともしばしば、でも偶に好成績)
油断なのか、相手の情報収集を全くしていないこともあった。(2002年対アメリカ戦?)
敗因はクリスティアノ・ロナウドのチームなのに彼が怪我、帰化ブラジル人ペペの醜態(帰化したブラジル人たちは他国でもあまりよくなかったようだ)、フィジカルコンディションニング失敗(怪我人続出)、監督はスターティングメンバーをいじらず。
以下コネタ。
・ポルトガル人は自国以外にどこを応援するか?
まず「兄弟国」ブラジル、そして「隣国」スペイン←これは偉いな。日本が隣国を応援するだろうか??
スコットランド人は「まず自国、あとイングランドの対戦相手」を応援するということだし。
・今回の大会のスタジアムは白人が多かった。
チケットが高額で、スタジアム観戦できるのは上層部?
アニメの男の子(黄色い服を着た黒人少年)はやはりスタジアムの中ではなくて、外からいつか選手になってあそこでプレイするぞと眺めている。
・ポルトガルリーグから出場したポルトガル人以外の選手たち
こういう検証、ロシアリーグでもやってしまうんですよね(服部先生とか)。
アカデミカは知らなくてもコビリャンは知っているよ! 
なんたってアリレザ・ハギギのクラブじゃないですか。
(しかもルビンからのレンタルだもの。)
ロシアリーグで雄姿を観たいけど、ルビンにはルィジコフがいるからなあ。
ヴェレムコがお留守のクルィリヤはどうでしょう?

以下、休憩後延長戦
宇都宮徹壱さん
「どこよりも早いワールドカップ報告会」
という看板には偽りがあったわけだ。
二日前にイベロアメリカ研究所がサッカーシンポジウムをしているわけだから。
広い国で移動が大変だ→次回も同様なことが問題になるだろう。
まあ気候の違いはブラジルほどではないか。
ラテンアメリカのサッカーにはすっかり疎くなっていたので、ファンが相手をけなしつつも遺恨にはならないような関係が保たれているようで(ウルグアイ対コロンビア等)、ブラジル大敗後アルゼンチンサポーターとブラジルの通勤客も仲良く混んだ電車に乗っていたようで、よかったね。
写真、楽しめました。

ディスカッション
一番盛り上がったのは「ベストイレブン選考」だが、ここでは省略。
・データ解析はアメリカが得意(西部)
・アルゼンチンは対戦相手の情報以上に試合の審判の情報を収集する(鈴木)
・日本は結局優勝国の真似になっているのでは?今度はドイツ?(市之瀬)
(ポルトガルに優秀なサイドアタッカーが連綿と続くのは、イングランドとの試合に勝てるように戦術を磨いた結果だと歴史的な話もされた。)
・ベストマッチ
アメリカ対ガーナ(木村)
歴史的な意味でブラジル対ドイツ、それとようやく決勝トーナメント進出が叶って喜ぶ姿を見たアルジェリア対ロシア(宇都宮)
 レーザーポインターがとっても後味悪かったからアルジェリアはないなあ、少なくとも。
 この試合、ロシアが勝っていたらやはり初の決勝進出だったけど、それでも宇都宮さんは感動しただろうか?
ブラジル対コロンビア(西部)
ブラジル対クロアチア(鈴木)
フランス対ドイツとアメリカ対ポルトガル(市之瀬)

後で補充するかもしれませんが、さしあたりこんなところで。

2 件のコメント:

  1. こちらの会に呼ばれなかった大平は,同じ日に立教であったシンポに行っていました。http://www.rikkyo.ac.jp/events/2014/07/14733/
    ブックレットを読んで下さってありがとうございます。読んでくれた人に会ったことがほとんどないのでうれしく思います。

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  2. 大平先生、コメントをいただけるなんて感激です。立教のシンポは時間がぴったり重なってしまっていて、どちらに行こうか迷ったのですが、近い方に行ってしまいました。そちらに伺えなかったのはとても残念です。

    ブックレット、続編を切望しています!!!

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