2014年12月9日火曜日

ロマノフ御用達

かつてトマトの先生とともにロシア語を習っていた。
そのクラスには、大学の先生が何人もいて、ピアノの先生、数学の先生、中国語の先生がいらしたが、トマトの先生は某大学の農学部の先生で、四角いトマトを作るために奮闘されているのだと言う。
四角いトマトの他にも、腐りにくいトマト、甘いトマトなど、いろいろ品種改良を重ねているようだった。
(腐りにくいトマトを試食させていただいた。「原種に近いので不味いです」とのことだが、特に不味くはなかった。)
星を発見したら命名権があるのと同様に、新しい品種を作ったら名前を付けることができるそうだ。
トマトの先生はこれまで「ハラショー」と「スパシーバ」と名付けたトマトを世に送り出したのだが、今度のトマトにはどんな名前をつけたらいいでしょうかね?と皆の意見を求めたのだった。
誰かが「女性の名前がいいんじゃないですか?」と言った。
すると中国語の先生が「エカチェリーナとか皇室御用達っぽくていいですね」とおっしゃったら、トマトの先生は「あ、それいいですね」と賛同し・・・・、で、結局トマトの「エカチェリーナ」は誕生したのだろうか?ということをふと思い出す。

昨日、ある食材を求めて伊勢丹の食品売り場を彷徨っていたら、スモークサーモンのゼリー寄せのレシピがあったのでいただいてきた。


レシピを観ると、お料理自体は簡単そうに思える。
料理をする過程はね。
しかし、問題はそれじゃなくて、普通のスモークサーモンではなくてご指定のスモークサーモンフィレを使うのがおいしさのコツであり、ポイントだと書いてあり、そのおすすめ食材が「キャビアハウス&プルニエ」の「バリックサーモンフィレツアーニコライフォーワン(110g)・・・・・・・・・・・・・・・・7,776円」とのことだった。
おー、さすがにデパート価格だ。
そんなの、使うか!やめとこ。

それはともかく、ツアーニコライ(ツァーリではないところがちょっと悲しいが)って、一世なのか二世なのかわからないが、「ニコライ皇帝の宮中レシピに従ってつくられた、厳選されたサーモンと燻製技術と塩の完璧な調和が生み出す絶妙な味わいが特徴」だそうです。

まあ、とにかくロマノフ家の箔を付けた食材だということなんだけど、ニコライ皇帝ね~。

以前、アンドレイ君(黒田龍之助先生の『外国語の水曜日』で活躍するあのアンドレイ君)に、「何でロシア名をアンドレイにしたの?」と尋ねたら、「アレクサンドルやニコライだと暗殺されそうだから」と言っていたのを思い出したりするので、同じロマノフ御用達系でも、エカチェリーナとかエリザヴェータとかアンナとか、女帝の名前を冠した方が美味しそうな、有り難そうなイメージがするのだけどなあ、勝手な印象だけど。

そういえば、私が最初に入手したロシア料理の本は1994年刊の『きょうはロシア料理』なのだが、レシピの中に「ピョートル大帝のステーキ」「イワン雷帝の魚料理」という皇帝様のお名前のお料理があっておもしろかった。あと、ビーフストロガノフとかオリビエサラダとか人の名前の付いたお料理、結構ありますね。

だけど、私見ながらやはりサーモンもニコライよりはアレクサンドラの方が美味しそうに思えるな。

それで、私はレシピを見ながら、ニコライじゃないサーモン(『ロシアの保存食』を参照して)で、ヤングコーンの代わりに好きなセロリでも入れて作ってみようかと思う。

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