2015年3月19日木曜日

恩師の憲法運動回想

上司が職場に寄贈した本(同僚たちは「場所がないのに」と有難迷惑っぽく受け取っていたのだが…)をふと手に取ってみたら、目次に恩師の名前があるのに気づいた。

恩師、というのは大学で憲法学を教わった、しかし専門は労働法か社会保障法か、とにかく憲法ではなかったはずの先生だ。
私がその大学を離れた後、先生は学長になり、やがて退任されて名誉教授になられ、現在は社会福祉法人の理事長を務めていらっしゃる。
元々福祉労働に携わっていらっしゃった先生は、やはり最初から憲法がご専門というわけではなく、福祉労働や労働運動といった実践活動を通じて法律学的な研究の必要を感じてい研究活動に入ったとのことだった(という経緯をこのたび初めて知った)。

先生は、その「憲法活動」の初期には「憲法じゅうりん告発運動」をされている。
これは耳慣れない言葉だった。
開拓地で両親に置き去りにされた幼い兄妹が飢えと寒さで亡くなるという事件(親は家に鍵をかけて子どもを閉じ込めたまま出稼ぎに行った)をはじめ、火災発生時に飼い牛救出に懸命になるあまり幼児救出が遅れて焼死させた事件、もっと頻発していたのは出稼ぎに行ったまま行方不明になる事例など、1960年代、特に地方の山村で起こっていた悲惨な出来事を調査報告し、福祉行政の問題点を洗い出し、憲法の問題として提示する。
これが先生の「憲法活動」の原点だったのか。
東京に生まれ育った私にとっては知らなかった世界だった。
(が、今はもう全く未知の世界ではないのだ。)

先生が理事長を務める社会福祉法人は、「憲法を学んで仕事と暮らしに活かそう」が今年のテーマだそうである。
福祉労働は人権を守る現場の仕事、と言う意味で憲法と直結していると言ってよいだろう。
憲法と暮らしは、決して無関係ではない。
ということを、誇りを持って、噛みしめてほしいなあと、そこの職場の方たちに向けて、考えている。

それで私は?
ええ、勿論、人権を守る、憲法と直結した「現場」にいると思っていますよ…。

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