2015年12月5日土曜日

エスペラント・ブランキー

前項の「今年のクリスマスに贈る本」に書いた『くろうまブランキー』は、最初に出た時には、実は縦書きだったのだ。

 
 
写真右下が『「母の友」絵本33こどものとも くろうまブランキー』(初版)40円〒8円。
縦書き。
そして冒頭に「おはなしを してあげましょう。」という一文がある。
この文は、以降の『ブランキー』からはなぜか消えている。
 
左上は1967年新版、ビニールカバー付きと帯付き。280円。
「フランスの子どもたちがつくった、ほのぼのと心暖まる作品。絵もやわらかなふんい気をだしてお話にぴったり。親も子もぜひ一読してほしい。」
裏表紙の帯には作者紹介が載っていて、堀内さんはもちろん、伊東三郎も存命で、日本子どもを守る会常任理事というのが当時の”肩書き”。 
 
右上は現在の『くろうまブランキー』(2013年刷)
数年前に色鮮やかにプリントし直したとかいう話。
 
左下はブランキーの原文、つまりエスペラントでタイプ打ちされたもの。
ただ、原稿というわけではなく(絵が堀内誠一さんだとか書いてある。で、再話者については伊東三郎ではなくて、I.U.(イーウ)と書いてある。
この物語を作ったのはフランスのフレネ学校(現存しない)の生徒たちだから、厳密に言うとオリジナルはフランス語なのだろうが、フレネ学校の先生から伊東がこの物語を入手したのはエスペラントを通じてのことだったから、このとき既にエスペラントの「ブランキー」があったのだろう。
(伊東は大阪外語大のフランス語科中退なので、子どもたちの書いたフランス語から訳せないわけではないと思うが、フレネ学校の先生とエスペラントを通じた交流で、「ブランキー」を知ったはずだ。)
 
子どものころから、私は、ブランキーはカタカナで書かれている(一部振り仮名が付されている)のに、「さんたくろーす」とひらがなで書かれているのか不思議だった。
祖父に聞ければよかったが、さすがに疑問を持ったのは没後だったと思う。
なので、聞くことはなかった。
 
今改めて確認したが、『ブランキー』の文中でカタカナ書きされてしかるべき言葉は「ブランキー」と「さんたくろーす」だけであり、つまり外来語を使っていない(流石に「りっぱ」とか「しんぱい」とか漢語は少しあるが)。
他の絵本もそうだったのかもしれないけれど、ほぼ全編日本の言葉で書かれた児童書だったのだ。
 


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