2016年4月19日火曜日

この世の終わりに

アップリンクファクトリーでロシアのコメディー映画「バイツァ・ダスト Отдать концы」のプレミア上映に行ってきた。
オンライン予約で満席になり、当日券の販売はお断りのようだった。
いつもロシア映画の上映というと、アテネ・フランセとか東京ロシア語学院とかオフシアターでの上映は特に、年配の人ばかりなのだが、今日は違った。客層が若々しい!なぜ??

17:50の回だったら沼野恭子先生のトークイベントがあったのだが、勤め人は勿論その時間じゃ無理。少々遅いが20:00の回に行った。

そうそう、こういうロシア映画が観たかった。よかった。
ソクーロフとかゲルマンとかズヴャギンツェフとかの美意識が独特すぎて、観終わって沈黙しかないような、難解な映画ではなくて、観ながらころころ笑えるような、それでいてただのコメディーではなくちょっと物悲しくもなり、というSFチックなお話。
「キン・ザ・ザ」というより、「アブドラジャン」に近く、さらに言えばアンナ・メリキャンに作風は近い。「マルス」とか「ルサルカ」に。
(この映画の監督もタイーシャ・イグメンツェヴァという女性の監督で、これが長編デビュー作。アレクセイ・ウチーチェリ門下とのこと。)
登場するのは8人の村人(男女各4人に男の子が二人、牝牛と犬(ランボーという名なのでたぶん雄犬)。
もちろんまともな人は一人もいない。
・マッドサイエンティスト風のヴァンカ
・映画好きのインテリ女性ニーナ(オリガからは父称で呼ばれる)・・・「マルス」のヒロインのようであり、小林稔侍の国税調査官シリーズのドラマに出てくる麻生祐未のようでもある。
・泥棒家業のミーシャ(「どん底」ペーペル風)
・妻のナスチャ
・全く頼りにならなそうなセーニャ
・その妻で二児スタフカとペチカの母オリガ
・犬のランボーと暮らすジーナおばさん(シャパクリャク風)
・牝牛のコンフェタをこよなく愛する元バルチック艦隊?のヴァシリエヴィチおじさん
この村ではアイロンがラジオだったりするのだが、ある時TVを見ていたら「太陽のコロナが何やらで」「午後22時(ママ)何分には世界が滅亡します」というニュースが流れる。
最初のうちこそ村人は動揺し一部泣き叫んだりするけれど、つまるところ宴会をしようということになるわけだ。
群像劇なので、「機械仕掛けのピアノのためのための未完成の戯曲」の雰囲気もある。
出演俳優で知っていた人は一人もいないのだが、皆なかなかいい感じだ。
いかにもロシアの田舎にいそうな変人たちを自然に演じている。
そうそう、映画中にジェレミー・レニエが出てくるので、嬉しかった。眼福であります。

0 件のコメント:

コメントを投稿