2017年3月30日木曜日

エストニアに期待する

「1944 独ソ・エストニア戦線 」って、録画していなかった?
過去にしたつもりだったのにない…。最近エストニアは映画、復活しているのかも。「みかんの丘」はグルジア人監督、「こころに剣士を」はフィンランド人監督の手を借り、まだ独力でというわけではないが、作品としてはいい仕上がりに。

EUフィルムデーズでも、バルト諸国作品は残念ながら他の国と比較するといつもレベルが低くてがっがりだった(辛うじてアニメやジュブナイルで一矢報いている感じだった)が、一昨年あたりから上記のような佳作が届いていて嬉しい。で、「1944」も評判が高いから観たい。

かつては(ソ連時代の話だが)バルト諸国映画、アニメのエストニア、ドキュメンタリーのラトヴィア、インディーズのリトアニアというイメージだった。ソ連解体後に全然映画作っていないんじゃないか?というような時代が長くて偶に観る作品も酷いものだった。復活を祝いたい。 

映画「1944 独ソエストニア戦線」や「こころに剣士を」で思い出すのはこの本⇒エストニア・世界大戦・粛清>オデッサ・コスモス: ◇КНИГА(書籍情報2012年3月②)“あの本”の邦訳が遂に刊行

と、ぶつぶつ呟いていたが、よかった。見つけた。
録画していたじゃないか。
近年成長著しいと感じているエストニアの映画。まだ観ていないけれど楽しみ←というと語弊があるかな。戦争の映画だから。戦争映画がいかに素晴らしくても、戦争自体は素晴らしくなんか全然ないんだ。 

2017年3月28日火曜日

録画メモ

フョードル・ボンダルチュク「スターリングラード 史上最大の市街戦」

トーマス・クレッチマンはドイツ映画の方の「スターリングラード」に主演(好演)しているから、ご縁があるんだろうなあ。
この映画では女性で身を持ち崩す?やけ気味のドイツ将校で、むしろ「ヒトラー最後の12日間」で自身が演じた役に近いように感じた。

父親のセルゲイも「バトル・フォー・スターリングラード 祖国のために」を撮っている。
こちらはミハイル・ショーロホフ原作のばりばりのソ連戦争映画。

2017年3月27日月曜日

カッサンドル展、結局最終日に滑り込み。

久しぶりの埼玉県近代美術館


松本瑠樹コレクションだった!あのロシアアヴァンギャルドの。夏に八王子夢美術館に巡回するが、あそこは狭いからここで観て正解。ハリコフ生まれだが非スラヴ。ミュシャみたいに故郷を題材にすることもなく。

ミュシャとの比較、ついしてしまう。

オデッサ・コスモス: 聖愚者ラヴル著者 : エヴゲーニー・ヴォドラスキン作品社発売日 : 2016-12-15ブクログでレ...

オデッサ・コスモス: 聖愚者ラヴル著者 : エヴゲーニー・ヴォドラスキン作品社発売日 : 2016-12-15ブクログでレ...: 聖愚者ラヴル 著者 : エヴゲーニー・ヴォドラスキン 作品社 発売日 : 2016-12-15 ブクログでレビューを見る» 聖者伝の形を取りながら、ソ連の市民の生活までちらりと見せる、なかなかに魅力的な本。超大型新人というのも伊達...

録画メモ

マリインスキー・バレエ「青銅の騎士」
「レニングラード 女神の奏でた交響曲(シンフォニー)」

2017年3月26日日曜日

わたしの隣のダニエル・ブレイク

今までのケン・ローチ作品(特に中期)、正当な怒り故の解決法が暴力や非合法的方法に行きつく点が正直納得いかず。「ルート・アイリッシュ」しかり「ブレッド・アンド・ローズ」しかり…「わたしは、ダニエル・ブレイク」はここで爆発かという場面は意外とあっさり終わる。そんなことでは解決しないとばかりに。

ケン・ローチ、ここ数作品は明るく力強くハートウォーミングだったが、ダニエル・ブレイクはビターだった。お役所仕事、民営化(しかも米国系らしい)してマニュアルから外れまいとする血も涙もない対応で人を貶め死にすら追いやろうとする。この「美しい国」でも見かける光景。
「わたしは、ダニエル・ブレイク」で起こることは他人事じゃなく。職安窓口にも、相手に対して敬意を払い、」こうした方がとアドヴァイスしてくれるちゃんとした係の人はいる。
ただ上司に「そんなじゃだめだ」と注意されるが。
公務員はだからだめだと批判するだけじゃだめで、そんな人が潰れないようにしないと。
ローチ初期の作品「キャシー・カム・ホーム」の現代版とも言われているようだが、確実に深化しているのが周囲の人、特にそれぞれの場所で働く人々の姿だ。「キャシー~」を観ていてよかった。ありがとう、川崎市市民ミュージアム!

サッカーネタは少なめ。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」今日・明日と上映館でフードバンクへの寄付受付やっている。情報知っていればよかった。https://www.2hj.org/support/food/  
有料入場者について基金への寄付もあり。なのに、私、招待券だった。もう一度有料入場で観に行くか。

ダニエル・ブレイク、やっと観に来られた。エルミタージュの展覧会と映画のセット券ダスターラ。プログラム付きで3100円だから結構お得だと思う。
プログラムというのか展覧会のプレス向けリーフレットですね。

ツイッター投稿より
(書きかけ)

2017年3月21日火曜日

ごろごろ怠けた時間

名言は 「儲けたお金は墓まで持っていけないけど、ごろごろ怠けた時間は持っていけると、僕は信じているんだ」

『となりのカフカ』に次ぐおもしろさ。よりカフカが身近に思える。というかほんとにしょうがない奴!でも周囲の人には結構恵まれていた。彼女は立派。この本の中心人物のフェリーツェもそうだが、チェコ人ミレナも立派。そんな”よくできた女性”には結構もてる究極の優柔不断男カフカ。

オデッサ・スタジオ: 一部屋半 あるいは祖国への感傷旅行

阿佐ヶ谷のロシア雑貨のお店「パルク」さん及び沼辺信一さんのお誘いで、
「一夜限りの傑作ロシア映画ナイト!第5回:一部屋半~あるいは祖国への感傷旅行」&スペシャル企画「沼辺信一氏トークイベント」
を申し込み、無事参加することが出来ました。
なので、以前書いたレビューの補筆。
だいぶ適当なことを書いていたわ。反省。


オデッサ・スタジオ: 一部屋半 あるいは祖国への感傷旅行: 少年は後に詩人となってレニングラードをうたう。 徒食の罪で刑事事件の被告人となる。 ノーベル文学賞を受賞する。 亡命する。 そして二度と故郷レニングラードには戻らない。 そんな詩人の魂がかの地に帰郷したとして、ソ連~ロシアアニメーションの大御所アンドレイ・フルジャノフ...


これ、亡命(実質国外追放)の後にノーベル賞受賞だったし。

♪音楽
ショスタコーヴィチ、チャイコフスキー、マーラー、バッハなどのクラシック(といってもショスタコーヴィチなどは同時代の作曲家で自身も登場しちゃうが←下記参照)もふんだんに効果的に使われているけれど、ここでは歌謡の方を言及。
お料理本からの妄想シーン、スターリン似?のシェフがご馳走を少年ヨシフに見せる際に流れている曲はグルジア民謡の「スリコСулико」だった。大好き「トルペド航空隊」の挿入歌でもある。
スリコという名の若者が戦いに行ってしまって、戻って来ないよ~と残された恋人が嘆く歌詞なので、「トルペド航空隊」の中で歌われるとほんとにぐっときてしまうのだけれど、この作品中ではシャシリクとかのグルジア料理だからこの曲を使ったのでは。
でも軽く哀愁のあるあのグルジアの響きがたまらない。素敵な曲。
今日の観客にはロシア歌謡のオーソリティーもいて、挿入歌「黒い瞳」について教えていただいた。
亡命後のヨシフが当地のパーティーの場で歌う「黒い瞳」、私は彼流の替え歌なのかと思っていたが、ロシア歌謡オーソリティーによれば、歌詞の比較的新しいバージョンである由。(元の歌詞にシャリャーピンが2番を加え、別の歌手がまた別ヴァージョンを作り…という具合に、自分に合わせた歌詞ヴァージョンがいくつかあるのがロシア歌謡のあり方なのだ。)

♪猫
猫好きヨシフ・ブロツキーは有名(検索すると猫抱きフォトショットぞろぞろ出てくる。特に愛猫ミシシッピ。このアニメーションの猫のモデルでもありそう)だけれど、フルジャノフスキー自身も猫好きのようだ。
一部屋半」や「猫1.5匹」に登場する落書き風猫は、実際ブロツキーの落書きを元にしている。
ヨシフとお父さんが猫語で会話していて(ロシア語訛りの猫語??それとも猫語訛りのロシア語か?)お母さんに叱られるシーンが何度かあるが、これも実話でブロツキーがエッセイ「一部屋半」に書き残している。

♪ショスタコーヴィチとサッカー
ショスタコーヴィチ登場シーンだけど、その前に少年たちが通りで草サッカー(草はありません)、お父さんが建物の説明してくれる場面を経て、スタジアムでの恐らく実際のサッカーの試合、観客に交じって応援を送るヨシフ達、サポーターたちの写真。
ここで有名な二枚の写真(25:43,25:44)、嬉しそうなショスタコーヴィチの人生で一番の笑顔じゃないかというこの2枚の写真が「一部屋半」に盛り込まれている。
http://www.sobaka.ru/images/image/00/49/56/00/_normal.jpg
http://dynamo.kiev.ua/media/swfupload/2016/09/yayaya_11.jpg
ショスタコーヴィチはサッカー好きが高じて、審判の資格をとろうとまでしていたというが(ウィキなどには「持っていた」と書かれているけれど、さすがに多忙のため断念したと『ロシアサッカー物語』にはあり、むしろこちらの方が信憑性が高いと思われるので、こちらをとる。ウィキは何を根拠にしているのか不明。)、そのときのショスタコーヴィチがポケットに差し込んでいる新聞には、審判・裁判も見出し語が見える。
レニングラードのユダヤ人医師団陰謀事件を想起させるような…。

♪フィギュアスケート
これも実話なのかな?
ヨシフのお父さんはフィギュアスケートファンらしく、いつもTVでフィギュアスケート、それもペアの演技を観ている。
たぶんロドニナじゃないかな。
人生最後の瞬間までフィギュアスケートを楽しんでいたのだった。
サッカーだって、ヨシフをよくスタジアムに連れて行ってくれたというから、好きではあったのだろうけど。
ショスタコーヴィチを見かけると、「すみません、スコアはどうでしたか?」と挨拶する。
ほんとは試合結果なんて知っていたんじゃないかな。
でも、家ではTV観戦していないんだよね、このお父さん。
観ているのはいつもフィギュア。

♪鴉
一部屋半」で忘れていたことと言えば、2羽のカラス。動きがとってもノルシュテインっぽかった。なんとも愛らしい。「話の話」とか「アオサギとツル」みたい。2羽はご両親の幻影であるようだ。
沼辺さんに教えていただいたが、母の死後に1羽、父の死後にもう1羽現れた鴉のエピソードはブロツキーのエッセイ集『一部屋半』にそっくり出てくるとのこと。
未だ邦訳はなく、ネットではこれが購入できる。

♪雪解けの青春
みんなして「リリー・マルレーン」歌う。

2017年3月17日金曜日

鈴木瑞穂さん、レジェンドのステージ

今日はアパホテル前スタンディングはなし。劇団銅鑼のお芝居観に行く。

劇団銅鑼のチェーホフ劇「彼の町」、多層の劇中劇。
カリャーギンのボードビルを思い出す。
鈴木瑞穂さんは圧巻!伝説的な舞台を観られた。

アフタートークで。
観たい、手掛けたいチェーホフ短編で挙がっていた「たわむれ」=「いたずら」=「悪ふざけ」私も好き。



未知谷の本は、なぜだか表紙の画像が出ないわ。きれいな絵なのに。

沼野先生訳(ナージャが「なっちゃん」になっていたりして、しっくりしない)<浦雅春先生訳(光文社古典新訳文庫)だけど、それにもまして感動した舞台はずっと前の上智大学の学生演劇、上智露劇だった。
大学内の小さな小さな劇場(ホールじゃなくて、1号館内の小劇場)で、客席の一番後ろから舞台に向かってスロープがこしらえてあって、「たわむれ」の劇中では、そこを何度も橇で実際に滑り降りるのですよ。
「好きだよ、ナージャ!」と言いながら、何度も。
二人共かなりへとへとになりながら。
学生ならではの、一種のばかばかしさの溢れる熱演だった。

「眠い」について、ある中編の合間に書いた出来の悪い短編(チェーホフ談)。
その中編とは「曠野(ステップ)」。
実はこれ、画期的佳作。
トークでは、ここでチェーホフ、嫌で嫌で脱出した故郷タガンログを振り返り、見つめ直し、再出発したという指摘。
中村喜和先生訳(但し抄訳)では未知谷のチェーホフ・コレクションで出ている。



あ、表紙の画像が出ない。いい絵なのに。

松下先生訳だとこれ。


舞台化は難しそうだが。ボンダルチュクが映画化している。ボンダルチュクは自作映画に出たがるが、これはその成功例。

 鈴木瑞穂さんみたいな大御所との共演は若い役者さん達には荷が重くはないかと、観る前には実は心配していた。幸いそれは杞憂だった。
瑞穂さんばかりに焦点が集まりそうだが、他の俳優(劇団の中でも中堅よりも若い人たちが中心だったようだ)も光る演技を見せていた。
「益々チェーホフが好きになった」
さほさんはそうツイートしていて、私もそうなんだけど(結構短編も読んでいるつもりでも知らない話があった!)、それに加えて、今までチェーホフの作品を読んでいなかったりチェーホフ劇を観たことがなかった人たちが口々によかった!と感想を述べているのが、なんとも嬉しい。
なんか生意気な書き方になっているけど
やっぱりチェーホフ大好き。

アントンさんが一人称を「自分が」と言ったりするのに違和感があったり、小柄で童顔の俳優さんより実際のチェーホフに似た感じの人に演じて欲しかったなあという願望とのずれはあったにせよ、チェーホフを自分なりに極めようという意気が役者さんお一人お一人に感じられて(舞台の上の人だけじゃなくてスタッフも含めて)よい舞台でした!

2017年3月12日日曜日

佐藤光政さんの歌声

佐藤光政さんって、あんなに美声で歌が上手くて、今でもコンサートなさっている(ということは現役)なのに、なぜCDが出ていないの?
母が昔レコード買っていたのと、その後カセットテープをまとめ買いしていたが、CDで欲しいのだが。

カセットテープ
佐藤光政
1.早春賦~日本の旅情
2.時雨によする抒情
3.兵士たちの詩 ライブⅡ
4.アマンダの思い出(レコードあり)
5.愛の終わりに
6.マイウェイ(レコードあり)
7.風の中
8.北国旅情
9.佐藤光政ライブ

10日本労働歌革命歌選集〈戦前編Ⅰ〉解放のうたごえ
12日本労働歌革命歌選集〈戦前編Ⅱ〉解放のうたごえ
13Битлз Навсегда(ビートルズの歌のロシア語カバー)

MD
14ゲルギエフ指揮「白夜
15ロシア、ソビエトのワルツ(2016/1/11クラシックの迷宮)
16セルゲイ・ラフマニノフ自演ピアノ協奏曲2番

CDにしたいのを書き出してみた。

2017年3月3日金曜日

収容所のポーランド人 『強制収容所のバイオリニスト』

ビルケナウ強制収容所にいたポーランド人女性の収容所体験談。ヴァイオリニストとして音楽コマンド(労働隊)隊員として”死の収容所”を生き延びた。ユダヤ人ではなくポーランド人の体験として貴重な証言ではあるが、なかなかに差別意識が滲み出た(対ユダヤ人やソ連・ロシアの人達)言葉が多くて考えさせられる。その分ドイツ人に対しては”同情はしないが”と言いつつ憎悪はそれほどないように見受けられる。自分たちのことはアーリア人意識でいるし。先行する音楽隊員証言として映画化もされたファニア・フェヌロン=ゴールドシュタインに対しては露骨な嫌悪感を見せている。ソ連への反感が強いのはルブフ(現ウクライナのリヴォフ(リヴィウ)出身で故郷を奪われた意識をずっと持ち続けていることが大きいだろうが、身につけているレイシズム(といってはさすがに言い過ぎかもしれないが西側が偉くてポーランドもその仲間的な感覚が明らかにあってアジア人の自分からしたらかなり嫌な感じ)当時の平均的ポーランド人よりちょっとだけましなくらいかなという気がしてくる。